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EVA樹脂素材とは?特徴やメリット・デメリットは?用途や耐久性についても解説

素材解説2023.01.05

EVA樹脂素材とは?

EVA樹脂素材はEthylen-Vinyl Acetate(エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂)という名前の樹脂素材の略称であり、プラスチックの一種として身の回りの様々なものに利用されています。

EVA樹脂素材はポリエチレンと比べても軽くて柔らかい素材であり、それらに加えて弾力があるなど機能性も高い素材になります。さらに、有害物質を含まないため地球環境にも比較的やさしい素材でもあります。

EVA樹脂素材はあまり聞き馴染みがない樹脂素材ではありますが、サンダルや長靴、バスマット、ジョイントマットなど身近な製品に使用されています。

本記事では、EVA樹脂素材の特徴とメリット、デメリットとEVA樹脂素材が使われている身近な製品の例について詳しく解説をしていきます。

EVA樹脂素材の6つの特徴とメリット

EVA樹脂素材には様々な特徴があるため用途の広い合成樹脂として様々な分野で利用をされています。ここではEVA樹脂の持つ主な特徴を6つ紹介していきます。

1. とても軽い

EVA樹脂は他のプラスチック素材と同様にとても軽いという性質を持ちます。具体的にはEVA樹脂の比重は0.95であり、ポリプロピレンが0.9、ポリエチレンが0.92〜0.96であるため、軽い素材として知られるこれら2つと同じくらい軽い素材です。

2. 弾力があって柔らかい

EVA樹脂はゴムのような弾力を持ち、力を加えても反発して元に戻るという性質があります。さらに、ポリエチレンと比べて柔らかいという特徴もあります。低温でも硬くなりにくく柔らかさを保つことができるため、寒い場所でも利用することができる素材です。

3. 耐久性に優れていて劣化しにくい

EVA樹脂は弾力があって柔らかいために外からの衝撃に強いという性質があります。さらに、水への耐性も強く、紫外線を浴び続けても劣化しにくいという特徴も。そのため、EVA樹脂は水回りでの使用や、日光や風雨に晒される屋外での使用に適しています。

4. 加工しやすい

EVA樹脂はカッターナイフなどで加工しやすいという特徴があります。EVA樹脂は足で踏むなど大きな面積での衝撃に強い一方で、一点に大きな力が加わる場合はもろく簡単に切ることができます。カッターナイフで簡単に加工できることを活かして、工作に使えるスポンジ状の板や、農業に使われるシートなどにも利用されています。

5. 毒性がなく安全に使える

EVA樹脂は有害物質を含んでいないため、万が一口にしてしまっても安全です。プラスチック素材の中には、誤って口にしてしまうと体内でホルモンの乱れを起こしてしまう成分が含まれているものがあり、生殖機能などに悪影響を及ぼしてしまう危険性があります。しかし、EVA樹脂にはこのような有害な物質を含んでいないため、毒性がない安全なプラスチック素材と言えます。

6. 地球環境にやさしい

EVA樹脂は地球環境に優しいということも特徴の1つにあります。EVA樹脂は塩素を含んでいないため、燃やしてもダイオキシンといった有害物質を発生することがありません。

さらに、熱可塑性樹脂であるためリサイクルが容易に行えることや、可塑剤を加える必要がないため、移行汚染が発生する心配がないという特徴もあり、地球環境にやさしい素材になります。

EVA樹脂素材のデメリット

EVA樹脂素材のデメリットは耐熱性が比較的低く、高温や熱によって変形してしまうということです。キッチンのコンロ周辺や夏場の車の中などで使用すると変形してしまうことも。高温に晒される場所での使用には不向きな素材です。

また、EVA樹脂素材は圧力をかけると縮んでいってしまう可能性もあります。弾力があって破損しにくい素材である一方で、柔らかいという性質上、一度傷が入ってしまうとその部分から引き裂かれやすくなってしまうというデメリットがあります。EVA樹脂素材を用いた製品を使用する際は、傷が入っていないか注意するようにしましょう。

EVA樹脂素材の用途とは?使われている製品を紹介

EVA樹脂素材は上述のように弾力があって柔らかく、そして軽くて耐久性にも優れています。ポリエチレンなどの他の樹脂と同様に水にも強いというメリットも。そして、素材自体に有害物質を含まず、燃やしても有害物質を発生しないとても環境に優しい素材であるため、安心して利用することができます。

これらの特徴を活かしてEVA樹脂素材は具体的には次のような製品に利用されています。

サンダルやスリッパの靴底

EVA樹脂 サンダル 底 ソール
EVA樹脂はサンダルやスリッパの靴底に利用されています。EVA樹脂は水への耐性が強く、さらに水を弾くため汚れが付きにくく、たとえ汚れても拭いたり洗ったりすれば簡単に落ちやすいので、手入れがしやすいのです。これに加えて軽いという特徴もあるため、疲れにくく、歩きやすいサンダルやスリッパを作ることができます。

バスマットやジョイントマット

ジョイントマット EVA樹脂
EVA樹脂はバスマットやジョイントマットに利用されています。EVA樹脂はバスマットやジョイントマットに利用されています。EVA素材は安価で加工しやすいうえに、耐水性や弾力があり耐久性に優れているという特徴があるためバスマットやジョイントマットの材料に適しています。さらに、素材が軽いという点もバスマットやジョイントマットの利用には重要なポイントです。バスマットやジョイントマットは使っているうちにカビが生えてしまったりします。使用後、カビを極力防ぐために立てかけるなど、頻繁に移動させる機会が多い製品。軽い素材の方がバスマットやジョイントマットへの利用には適していると言えます。

目地材

EVA樹脂 目地剤 タイル
目地材(めじざい)とは、建築物などで少し間隔を空けた材料の隙間・継ぎ目の部分に使われる材料のこと。身の回りのレンガやタイルの継ぎ目にはゴムのような弾力のある素材が利用されています。このゴムのような弾力のある素材がEVA樹脂です。EVA樹脂は水に強いのでお風呂場や台所のタイルの目地材に使われることがあります。

子ども用のおもちゃ等

EVA樹脂 玩具 おもちゃ
柔らかいという特徴から、製品使用時に怪我をするリスクを抑えることができるため、子ども用のおもちゃ等に利用されています。例えば、積み木やラバーブーツ、チャンバラ用の刀などのおもちゃに利用されます。さらに、有害物質を含んでいないため、万が一、子どもが口に入れてしまっても体に害が加わる恐れがありません。EVA樹脂は安心・安全さが求められるおもちゃ等にも適していると言えるでしょう。

パソコンケースの緩衝材

EVA樹脂 緩衝材 PC
EVA樹脂はパソコンケースの緩衝材にも利用されています。ゴムのような弾力があり、衝撃を加えても吸収できるという点はEVA樹脂の大きな特徴です。その耐衝撃性を活かして、衝撃に弱いパソコンなどの精密機械を保護する目的で利用されます。パソコンケースの他にも、楽器梱包用緩衝材や家具・大型備品製品ケース類の包装なども用途の1つです。

EVA樹脂素材とシリコーンの違いとは?

柔らかい素材を使いたいとなった時に、メーカーではシリコーンを使いたいという声が上がることがあります。柔らかい素材としてシリコーンが馴染み深いので頭に浮かびやすいですが、EVA樹脂やエラストマーも柔らかい樹脂の1つです。

今回解説したEVA樹脂とシリコーンは、柔らかいという点では似ているものの違う点も多くあります。実際にどのような違いがあるのでしょうか?

1. 素材の作り方

EVA樹脂素材とシリコーンは素材の作り方という点で違いがあります。
シリコーンの製法は液状のベース剤に硬化剤を加え、熱を加えて、型に流し込み硬化させるという方法です。

シリコーンの原料となる金属ケイ素は、二酸化ケイ素が主成分となるケイ石から取り出します。その金属ケイ素にハロゲン化アルキルと反応させたものから、ジメチルジクロロシランという物質を加水分解します。そこに添加剤などを加えてシリコーンコンパウンドを作り、そこにまた機過酸化物や触媒などの加硫剤を添加して、熱硬化させると一般的に多く使われているシリコーンゴムが出来上がります。

身近なもので例えるならば、パンを小麦粉から作るというイメージ。パンを作る際には小麦粉に酵母を加えて発酵させて、オーブンで熱を加えることで固まってパンが出来上がります。このとき、小麦粉に酵母を入れて熱を加えることでカラメル化とメイラード反応という化学変化が発生します。オーブンで熱を加える前と後では異なる物性になっています。シリコーンもパンと同じような方法で成形されます。

EVA樹脂は、エチレンと酢酸ビニルという物質同士を共重合して製造された粒子状(ペレット状)の材料を、熱で溶かして型の中で冷却することで作られます。EVA素材の製法は形が変わっただけで材質は元のものと変わりません。

身近なもので例えるならばキャンディを作るイメージ。キャンディを作る際は細かくなった砂糖を湯煎して溶かし、型に入れて冷やすことで好きな形のキャンディが完成します。このとき、形は変わっても物性は変わっていません。EVA樹脂の作り方も同じイメージです。

このように融点まで加熱すると柔らかくなって、再び冷やすと固まる樹脂のことを「熱可塑性樹脂」と言います。EVA樹脂に加えて、ポリエチレンやポリプロピレンなども熱可塑性樹脂に分類されます。

2. 耐熱性

EVA樹脂素材とシリコーンの最大の違いは耐熱性です。

シリコーンは加熱をすると色が少し白く変化するものの、形状が変化したり溶けたりすることがありません。一方で、EVA樹脂素材は加熱をすると溶けてドロドロになってしまい形状が変化してしまいます。シリコーンは耐熱性が高く、熱を加えても変形しにくいのに対して、EVA樹脂の方は耐熱性が低く、熱を加えると変形してしまうという点は大きな違いの1つです。

3. 価格

EVA樹脂とシリコーンは価格にも違いがあります。具体的に言うと、同重量であればシリコン価格はEVA樹脂の4~5倍くらいします。

EVA樹脂の方がシリコンよりも安い理由として、原材料コストがEVA樹脂の方が安いことに加えて、上で述べた作り方の違いによって成形時間が異なる点も挙げられます。シリコーンは成形時間が長くかかりますが、EVA樹脂は短い成形時間で製品を作成することができます。時間が比較的かからない分、EVA樹脂の方がシリコーンよりも製品を安く仕上げることができます。

まとめ

いかがだったでしょうか。
EVA樹脂は柔らかく弾力があり、軽いという特徴があり、衝撃にも強く、水への耐久性もあるため、身の回りで幅広い用途で利用されています。また、ダイオキシンなど有害物質を発生させないので、地球に優しい素材でもあります。

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